電話対応に苦手意識を持つ理由とは
仕事における得意・不得意は人によって全く異なると言われていますが、最近苦手だと感じる人が増えている仕事の1つが「電話対応」だといわれています。現在メールやメッセージアプリなど文字を利用したコミュニケーションを当たり前に使用するようになって、電話をする機会が減ってはいますがビジネスで電話対応は非常に重要になってくるため、電話対応に対して苦手意識を感じてしまう理由を一つずつチェックしていくことが、克服するための対策に繋がります。
電話対応に苦手意識を持ってしまう理由
電話自体に慣れていない
まず電話対応に苦手意識を持ってしまう理由の1つに、「電話自体に慣れていない」ということが挙げられます。かつて日本における通信手段といえば、自宅の固定電話や外にある公衆電話を使用する必要があり誰でも当たり前のように電話を使用していました。
しかし現代になって通信手段が固定電話以外にも、携帯電話を持つ人が増えたことによって音声通話の他にメール、LINEといった文字を利用したコミュニケーションがメインの通信手段となり、若い世代の人ほど電話で会話すること自体に慣れていない人が多く、電話で会話をすることに苦手意識を持つ人が増えたことが考えられます。
相手の顔が見えないことで不安を感じる
他にも「相手の顔が見えないことで不安を感じる」ことも苦手意識を感じる理由の1つだといわれており、普段人と対話すると言葉の内容以外にも相手の表情や手振りによって、何を伝えたいのかを知ろうとしますが、電話対応になると相手の音声しか情報を得ることができなくなります。
人によって声質や話し方は異なり、実際に怒っていないのに起こっているような印象を与えてしまう声質や話し方の方は多く、対面では相手の表情を見ながらどんな気持ちで会話をしているのか判断できる場合も電話のみになると、どんな対応をすべきか判断が難しくなっていきます。
そのため相手の気持ちがわかりにくく、相手を不快にさせてしまったのではないか、何か気に障るようなことを言ってしまったのではといった、常に不安を感じながら対応をすることになるため会話がぎこちなくなってしまうケースも少なくありません。
聞き逃し・間違いが怖い
「聞き逃し・間違いが怖い」というのも電話対応が苦手に感じてしまう理由の1つだといわれています。現在多くの人が当たり前に使用しているメールやチャットツールの場合、相手との会話のやりとりがきちんと履歴として残るので、もし重要なやりとりとした後に万が一内容を忘れてしまった場合でも、履歴を再度チェックすれば仕事などに必要となる大切なやりとりを確認することができるので心配はありません。
しかし電話で重要なやりとりを行った場合、相手の話し方や声質によっては十分に聞き取ることができなかったり、こちらが効き間違えをしてしまうリスクがあります。相手の言葉をそのまま聞いて、メモを取るだけならばそこまで難しくはありませんが、電話の場合相手の言葉を正確に聞き取った上で、会話をしていかなければいけません。
そのため電話対応自体に慣れていない人によっては、会話をしながらメモを取ることができず、後で大きなトラブルに繋がる可能性が出てきます。電話による聞き逃しや間違いのリスクを恐れるあまり、仕事におけるプレッシャーを感じ余計に電話対応を苦手に感じてしまう人は少なくありません。
電話はその場で返答を求められることが多い
「電話はその場で返答を求められることが多い」のも、苦手意識を持つ人が多い理由です。メールの場合基本的に緊急的な内容ではないことが多く、社内でしっかり検討した上で相手に向けてメールの返信をすることができるなど、時間に余裕がある特徴がありますが、緊急性のある連絡だった場合大半が電話がかかってくるため、その場返答を求められることが非常に多いです。
こういった場合自分一人で判断できないことも多く、その場ですぐに返答をすることが難しいケースも多いですが、答えにくい内容でもひとまずは答えを求めている相手に対して何らかのリアクションをしなければいけなくなるため、臨機応変な受け答えが必要となります。突然のトラブルに臨機応変な対応に慣れていない人ほど、電話対応に苦手意識を持ってしまう人は多いです。
周囲の目線が気になる
「周囲の目線が気になる」というのも理由の1つで、オフィスに設置されている固定電話の場合、すぐ近くには同僚や上司がいることが多く、自分が電話対応をしなければいけない時相手とのやり取り全てが周りに聞かれている状態となります。特に新人さんなど仕事に慣れていない人にとっては、同僚や上司から自分の電話対応の良し悪しをジャッジされていると感じ、普段以上に緊張してしまい相手の話に集中することができなくなってしまう人も少なくありません。
相手の話の内容や質問の意味がわからない
他にも「相手の話の内容や質問の意味がわからない」ということも挙げられます。電話で問い合わせを受けた場合自分が担当でなければ答えられないことも少なくありません。誰かに確認をしようとしても、相手の会話に専門用語が使用されていたり質問そのものの意味がわからないという状態では、他の人に取り次ぎをしたくても相手に説明ができないので、どうすればいいのかわからずパニックになってしまうケースも多いです。
こういった状態は業務知識が増えて自分に自信がついてくると、電話で聞かれることも予測ができるようになりますが、仕事に慣れないうちは初めて聞く内容を相手から問い合わせしてしまった場合は、焦ってすぐに上司に代わってもらうという人も多いようです。
ビジネスフォンに慣れていない
基本的な部分で「ビジネスフォンに慣れていない」というのも理由の一つです。電話取次ぎを行う場合、一旦保留にしたり他の電話に転送をしたいといった操作が必要となりますが、オフィスで使用するビジネスフォンはボタンが多く、携帯電話や家庭用の電話機と比べて使い勝手が全く異なります。
ビジネスフォンの使い方は、受電対応をする場合は電話を取る・電話を切る・保留するの基本的な3つの操作が行えれば問題はないといわれていますが、使い慣れていないとどのボタンを押せばいいのかわからず焦ってしまう人もいます。操作に慣れるまでは、ビジネスフォンを取ることも失敗につながってしまいそうで不安に感じ、電話対応自体が苦手に感じてしまう人は多いです。
電話をかけるとき・取るときの4つのポイント
電話対応が苦手に感じる方は、事前に気をつけるべき4つのポイントをしっかり押さえておけば焦ることなく、スムーズな対応が行えるようになります。
事前に気をつけるべき4つのポイント
相手に伝えたいことをまとめておく
ポイント1つ目は「相手に伝えたいことをまとめておく」ことであり、ビジネスで相手に電話をかける場合相手の時間を一時的に拘束している状態です。相手にも仕事がある以上、電話をする上で必要な用件以外の話をするのは時間がもったいないと感じられてしまう可能性が高いので、あらかじめ何を一番伝える必要があるのかなど伝えるべき内容をしっかりまとめておくことが大切になります。
知らない相手に電話をかけると焦って、会話がまとまらなくなってしまうのではと不安を感じてしまうなら、用件のポイントを整理して最低限何を伝えなくてはいけないのかを自分自身で理解しておき、それでも不安ならば自分用の台本を用意しておくことがおすすめです。伝えることをわかりやすくまとめた台本が眼の前にあれば、電話相手との会話に緊張して何を話せばいいのかわからなくなってしまっても、すぐに台本をチェックして冷静に対処することができるようになります。
仕事を学びたての新人の方なら、先輩に相談しておくことでどのように進めればいいのか電話対応のコツを教えてもらえるチャンスなので、恥ずかしがらずにどんどん確認をしてアドバイスを受けるようにしましょう。
そして相手から電話がかかってきた場合に関しては、相手の出方によってこちらがどのような対応をすべきか変える必要がありますが、最低限の受信対応として最初の挨拶をはじめ、相手の勤務している会社名と名前、担当者や用件といった必ず確認すべき内容を予めメモをしてデスクに置いておけば、突然電話対応をすることになっても慌てず冷静に対処をすることができるので安心です。
また電話をした後は、相手と話したままで終わらせるのではなく、話した内容をすぐに文字にまとめて相手にメールで送ることも大切なポイントになります。文字でやりとりの内容を残すことにより、自身が内容を何度も振り返ることができるので忘れる心配がありませんし、相手にメールを送ることで「言った」、「言わない」といったトラブルを回避するためにも非常に有効な対策となるので、電話をしたあとのメール確認は必ず習慣化させることがおすすめです。
メモできるものを常に手元に置いておく
「メモできるものを常に手元に置いておく」ことも電話をかける・取るときの大切なポイントです。メールでのやり取りとは異なり、電話対応は即時性が求められるので、新人のうちは特にメモに必要な情報を残しておくと、ミスやトラブルを減らすことができます。
そのためいつでもメモが取れるようにメモ帳やペンを用意しておくことがおすすめです。普段自分が持ち歩くメモ帳とデスクの上に常に置いておくメモ帳の2つを用意しておけば、電話が鳴ってから急いでメモをする文具を用意する必要がなく、相手を待たせてしまう心配がありません。
使用するメモ帳はシンプルな無地のタイプを使用するという方法もありますが、全ての電話が自分宛てにくるわけではなく他の同僚に向けて伝言を頼まれるケースも少なくありません。そんな時に最低限押さえておきたいポイントが、用件はもちろん相手のフルネーム、折り返すための電話番号、電話を受けた日時など最低限の情報を伝言メモに残しておきます。伝言メモを用意しておけば、その場に対応すべき同僚がいなくても必要な情報を簡潔に相手に伝えることができるので便利です。
最近では予め聞くべき項目をフォーマット化した伝言メモも販売されるようになっており、電話を受けた時に聞くべき項目をしっかり抑えることができるので、聞き忘れをしてしまった経験のある方は便利な文具を活用するのも電話対応をスムーズに行うためのコツとなります。またメモを残す場合に使用するボールペンはできるだけ太めのものを使用することがおすすめです。
電話に対応する場合スピードと正確さが求められるので、どうしても焦って内容を残そうとすると文字が読みにくくなる可能性があります。そういった時に後で見返して文字が読みにくくて内容がわからないといったことにならないためにも、細書きのボールペンよりも太めのタイプを選ぶことで文字がしっかりと書き込め、急いで書いても内容が読み取れる場合が多いです。
最近は手帳に使用するなど細かく書き込める細めのボールペンが人気を集めていますが、細い字は人によっては見にくいと感じる可能性が高いので、伝言メモを残すときは特にどんな人でも読みやすいメモを残すためにも太めの0.7mm以上のボールペンを使用すると安心です。
電話がかかってきたら利き手と逆で取る
「電話がかかってきたら利き手と逆で取る」ことも大切なポイントの1つです。普段自分で固定電話から電話をかける場合、受話器は利き手で持つ人が大半のため、電話がかかってきた場合もつい慣れている利き手で受話器を取る人は非常に多いです。
しかしあえて電話がかかってきた時に利き手と逆で取ることにより、スムーズに用件をメモに書き留めることができるようになります。電話対応においてメモは必須となるため、普段から受話器を取る手は利き手の逆にすることを習慣化させることで、相手の話を聞きながらスムーズにメモを取ることができて便利です。
ただ慣れないうちはどうしても利き手で受話器を取ってしまうことも多いですが、そんなときは言葉の間などにさっと受話器を持つ手を変えることで対処することができます。ただ大切な会話をしている時に無理やり持ち手を変えようとすると、相手の話している内容を全て聞き取ることができずに後で確認不足でトラブルにつながってしまう可能性があるので、もし相手の話を聞き取れなかったと感じたらその場でもう一度相手に確認をすることも大切です。
相手の立場に立って会話をする
そして最後は「相手の立場に立って会話をする」ことがあります。相手から電話がかかってきた場合必ず目的があるため、電話を受信するにあたりどのような目的で電話をされたのか、という相手を受け入れる意識を常に持つようにすると、落ち着いて電話の内容を聞くことができるので、聞き逃しをする心配がありません。また問い合わせ自体も様々なパターンがあり、内容をカテゴリー分けしてまとめておくと、今後担当が変わった時の引き継ぎにも役立ちます。
電話対応を克服する3つのコツ
ビジネスで電話対応は欠かせないことから、苦手意識を克服するコツをチェックしておき普段から意識するようにしておけば、苦手だと感じる気持ちが軽減されスムーズに業務が行えるようになります。
電話対応を克服するコツ
周りをあまり気にせず電話先の相手のことを一番に考える
電話対応を克服するコツの1つ目は「周りをあまり気にせず電話先の相手のことを一番に考える」です。電話対応が苦手だという人の傾向として、電話している自分を職場の人がどう見ているのか気になってしまったり、自分の電話のやり取りを周りに聞かれるのは恥ずかしいと感じてしまうという人です。
こういった傾向にある人は完璧主義やプライドが高いことが多く、仕事に関しても初めから終わりまできちんとしなければいけない、完璧にこなさないと思いがちです。しかしどんな人も仕事に慣れていない新人時代は、慣れていない段階でも完璧主義の呪縛にとらわれてしまうことで、結果として電話に出ることが怖いと感じ仕事に支障が出てしまいます。
しかし電話対応で最も大切なことは、電話先の相手が話していることを正確に聞き取り、自分の伝えたいことをしっかり伝えることにあります。実際に本人が思っているほど周囲の人は電話に注目しておらず、黙々と自分の業務に集中しているので意識的に聞き耳を立てる人はいないと自分で思い込むことが大切です。
そこで周りが気になって電話に集中することができない状態を克服する対策として、自意識を捨て電話先の相手のことを一番に考えることがおすすめです。相手から電話がかかってきたなら用件の内容を正確に聞き取るようにして、話の内容もメモに取る癖をつけることや、自分から電話をかける場合には用件がわかりやすく伝わるように、意識するようにしましょう。
そして相手の声が聞き取りづらいような場面があっても、そのままにせずに「大変申し訳ございませんが、もう一度よろしいでしょうか」と前置きをした上で聞き直しをすることがミスを減らす第一歩です。周りを気にしすぎて一番大切な電話の内容をきちんと理解せず曖昧に電話を終わらせるよりも、多少つたないやり取りでも真剣に聞き取ろうとする姿勢が相手に伝わるほうが、ビジネスはスムーズに進みます。
また電話対応自体に慣れていないという方に関しては、電話対応マニュアルを用意しておくことをおすすめします。例えば電話でなかなか流暢に喋ることができない、電話の話し始めや終え方がわからないといった不安も、ある程度の電話応対に必要なセリフはマニュアル化してしまえば、比較的簡単に覚えることができるので電話に出る不安感を減らし、苦手意識を克服することができます。
実際に特定の業務で電話を使うことが多いなら、毎回ほぼ決まった流れになるため既存の電話対応マニュアルを暗記する以外にも、自分だけのオリジナルマニュアルを作製してデスクの上においておけば、やり取りが格段にスムーズとなり苦手意識を払拭することができるのでおすすめです。
自分のやるべきことを可視化
電話対応を苦手に感じてしまう傾向の人の多くに、気を遣いすぎたりネガティブ思考であることが挙げられます。こういったタイプは今電話をして相手は迷惑ではないか、といった考えで不安を感じなかなか自分から電話をかけることができないケースが多いです。相手に確認しなければいけない用件があるのに、つい連絡を先延ばしにしてしまっていては最悪業務に影響を及ぼす可能性が出てくるので、電話対応を克服するコツ2つ目は「自分のやるべきことを可視化」する方法がおすすめです。
これはどんな業務を進める上でも非常に有効な方法の一つですが、電話対応においても「TODOリスト」を作製することは非常に有効だといわれています。このTODOリストは誰に・どんな用件で・いつまでに電話をすべきかの3つを明確にするしてリストにする方法であり、作成したリストをデスクの目立つ部分に貼っておけば、自分でも常に意識するようになり電話を先延ばしにすることはなくなります。
ビジネスにおいて相手に確認する用件があれば電話をするという行為は、スムーズに業務を進める上で重要であり、一般的な時間帯に電話するのであれば相手も迷惑に感じることはありません。ただし相手が出勤していない可能性が高い朝早い時間や、昼食や休憩をとっていることが多い昼休みの時間帯は避けることが基本なので、もし電話をかける場合には時間だけ気をつければ問題はないと考えるようにしましょう。
電話対応に苦手意識を感じている方も、着実に自分の仕事を成し遂げていけば達成感を感じて仕事への自信につながっていきます。誰でも慣れないことをするときは不安を感じるものなので、苦手意識をもつ仕事があっても事前に対策をしっかりしておけば不安を少しでも減らすことができますし、多少のミスをしてしまっても深刻に捉えず次回は気をつけようとポジティブに考えることが大切です。
基本的に間違いを恐れるよりも、相手を気遣う気持ちであったり間違いに気付いた時に素直に謝る姿勢を持つことが大切です。
電話機の操作を完璧に覚える
電話対応を克服するコツの3つ目は「電話機の操作を完璧に覚える」ことです。若い世代の人は子どもの時からパソコンや携帯電話が普及しており、自宅に固定電話がないというケースも少なくありません。そのため固定電話の使い方がわからないといった基本的なことが、苦手意識につながっている可能性も考えられるので、固定電話を使用した経験がないならしっかり使い方をマスターしてしまえばスムーズに業務を進めることができます。
会社で使用されているビジネスフォンは、固定電話であれば内線・外線があり、ボタン操作を間違えてしまうと切れてしまう可能性があります。他の部署に転送する時にも手順があるので、使う頻度の高い機能を中心に操作をマスターしていきましょう。
最近ではIP電話と呼ばれるネット回線を利用してPC上で受発信を行うシステムを導入する会社が多く、事前に操作を覚えておかないと焦ってしまい落ち着いて電話対応をすることが難しくなります。慣れないうちは先輩に相談をして、電話対応の実践練習としてロールプレイしてもらうようにすると効果的です。
そして慣れるまで自ら積極的に進んで電話に出ることも、苦手克服の一番の近道となるので、着実に経験を重ねていければそれが自信に繋がります。
意識したい最低限の電話マナー
電話対応はオフィスワークや事務職の基本となる業務のため、意識しておきたいのが電話マナーです。マナーというと難しいことを覚えなくてはいけないと不安に感じる方は多いですが、最低限の電話マナーを慣れてしまえば苦手意識のあった電話対応もスムーズに進めることができます。
最低限の電話マナー
電話が鳴ったら3コール以内に出る
最低限の電話マナーとして必ず守りたいのが「電話が鳴ったら3コール以内に出る」ことで、一般的なビジネスマナーの1つであり多くの社会人が当たり前のように実践しています。
これは電話をかけている側にとって、相手が3コール以内に出ないと「待たされている」と感じてしまうケースが多いためで、電話に出るのが遅れてしまっても大きなトラブルになることは考えづらいですが、仕事相手によっては社員教育がきちんとできていない会社だと悪いイメージを持たれてしまう可能性が高くなります。
人によっては電話に出てもらうのを待ちきれずに途中で電話を切ってしまうケースもあり、緊急の用件だったり大切な商談の連絡だった場合は、後でトラブルにつながる恐れがあるので、電話対応の基本のマナーとしてしっかり身につけることをおすすめします。
会社名・自分の名前を名乗る
「会社名・自分の名前を名乗る」ことも大切な電話マナーの1つであり、必ず相手が名乗る前に自分からハキハキとした声で会社名・自分の名前を伝えましょう。会社によっては受け答えにルールが設けられている場合があるので、基本はそのルールに合わせることが第一となります。ここで気を付けなくてはいけないポイントが、電話をとったときに「もしもし」という言葉を最初につけなことです。
これはマナー違反と捉えられることが多いので気を付けなくてはいけませんし、もし業務が忙しく電話に出るまでに3コールより長く待たせてしまった場合には、最初に「大変お待たせいたしました」と一言お詫びの気持ちを伝えることも大切です。
電話を受けた時の対応としては、「お電話ありがとうございます。〇〇の△△でございます。」という基本が守られていれば問題はありません。もし電話対応に慣れておらず、名乗りがスムーズに伝えられないと不安に感じるようなら、自宅で何度も練習をしておくと業務でもハキハキと名乗りをすることができるのでおすすめです。
相手の名前を複勝・確認してメモを取る
「相手の名前を複勝・確認してメモを取る」ことも意識しておきたい最低限の電話マナーです。自分が会社名と自分の名前を名乗ると、相手側も「株式会社〇〇の△△です」といった形で、会社名・名前を教えてくれるのが基本の形式です。この時気を付けたいのが相手が名乗り終わった時に、必ず再度復唱し、相手の名前の聞き間違えを防ぎます。
この時会社名と名前をメモにとる習慣をつけておけば、後で再度内容を確認する時に相手の名前を忘れてしまうといったトラブルを未然に防ぐことができるので、必ず復唱とメモはセットで対応することが大切です。
ただしこちらが名乗っても、相手が名乗らずに用件をいきなり話し始めてしまうケースも少なくありません。こういった場合、あとで折り返し連絡をしなければいけない時などに、連絡先や名前がわからない状態では業務を進めることができなくなってしまうので、必ず相手の名前と会社名を確認しましょう。
相手が名乗らない時の確認方法としては、「誠に恐れ入りますが、御社名とお名前をうかがってもよろしいでしょうか」などと相手が名乗るように促すことが必要です。また会社名は名乗ったけれど、名前を名乗らないといったケースや、名前だけ名乗るケースもあるので、臨機応変で会社名と名前の2つをセットにして確認することが電話対応において必須だと理解しておきましょう。
また人によって声質や喋り方は異なり、きちんと相手が名乗ってくれても名前を聞き取ることができない場合があります。そんなときには「大変恐れ入りますお電話が少し遠いようなので、もう一度、お名前をおっしゃっていただけますでしょうか」と伝えることで、再度確認することができます。相手の名前を復唱や確認する時の言葉は大体パターン化しているので、できるだけ多くの電話に出て応対を身につけていくことが、スムーズに電話の受け答えをするための近道といえます。
元気よくはきはきと話す
「元気よくはきはきと話す」ことも意識したい最低限の電話マナーであり、声が小さかったり、低いトーンでボソボソ喋ってしまうと、相手は何を話しているのか聞き取れず困ってしまうことになります。普段自分の話し声を自分自身で聞く機会は少なく、人と話しているときは自分が思っている以上に早口になってしまう人は非常に多いです。対面式で話をする場合は伝わる話し方であっても、電話で同じように話をしてしまうと相手は聞き取りにくいと感じる可能性が高いです。
そこで意識したいのが滑舌良くはきはきと話すことで、相手にしっかりと情報が伝わります。滑舌をよくするポイントは、口を横だけではなく縦にも開くように意識することが大切で、「え」は口を横に開けて発音しますが「あ」は縦に開いて発音するほうが相手にははっきりと聞こえます。
口角を上げて話すと横だけ口を開いてしまうので、母音に合わせて縦に口を開くように意識することがポイントです。そしてはっきりとした言葉で話すのと同時に、相手が聞き取りやすいように落ち着いたテンポで話すことを意識しましょう。特に普段早口で話してしまうくせがある場合は、早口で一気に捲し立てると相手は聞き取りにくいだけではなく、威圧感があると捉えられてしまいます。
特に電話の相手が高齢者の場合は、はっきりとした言葉でゆっくりと伝えることが欠かせないので、落ち着いて話すことを意識するようにするとスムーズに会話を進めることができます。
相手が電話を切ってから受話器を置く
そして「相手が電話を切ってから受話器を置く」ことも最低限の電話マナーです。電話はかけた方が先に切ることがマナーとされ、「プープー」という音がなり相手が確実に電話を切ったと判断してから受話器を置きます。ただ相手から電話を切ってくれないケースもあるので、そんな場合は「お電話ありがとうございました失礼いたします」と一言伝えて、電話のやり取りが終了していることを伝え相手から電話を切るのを促すことがおすすめです。
電話が苦手でなくなった場合のメリット
ビジネスにおいて電話対応は非常に大切な業務の1つのため、電話対応自体が苦手だと感じていた人も研修をしっかり受けたり、マニュアルを覚えるなど勉強をする方は多いです。電話対応の上手い人の対応を参考にして定期的に自分の対応を振り返るなど対策をしっかりとっていけば、対応数が増えるほどスムーズに業務を進められるようになりますし、実際に電話対応の苦手意識を克服することができれば、業務上で色々なメリットがあると言われています。
電話対応の苦手意識を克服するメリット
相手の話をしっかりと聞くことができるようになる
「相手の話をしっかりと聞くことができるようになる」ことがメリットの1つであり、電話対応が慣れている人は相手の問い合わせに対して状況を詳しく聞き取り、状況をしっかりと把握した上で的確な対応をすることができるようになります。こういった落ち着いた話し方や、対応は相手に安心感を与えることができるので、仕事をしていく上で信頼できる人物だと評価してもらえチャンスがあれば次の仕事に繋げられる可能性があります。
また電話対応に慣れている人、上手い人の傾向として、相手の話に最大限耳を傾けるようにするため、解決を焦るばかりに相手の話を遮ることはしません。相手の話が終わらないうちに話を畳み掛けてしまうと、相手にとっては高圧的に感じたり、話をきちんと聞いてくれない人だと判断されてしまう可能性があります。
しかし会話を遮らず、適度に相槌をうちしっかり話を聞く態度は、親身になって話を把握しようとしてくれているとアピールすることができるので、お互いが気持ちよく仕事を進められ、円滑なやり取りをすることができることも大きなメリットです。
言葉遣いが適切
電話対応の回数が増えていくと、色々な相手とやりとりをすることになるため、「言葉遣いが適切」になることもメリットの1つです。仕事で取引先の方とやり取りをする時や、お客様に対して対応をする場合など、シーンによって敬語や丁寧語を正しく使い分けることが必要です。電話対応をしている以上、自分はその会社の代表として対応することになるため、自分が間違った言葉遣いをしてしまえば、そのまま会社に対する不信感に繋がる恐れがあります。
基本的にどの会社も入社後の新人研修で、ビジネスに必要となる言葉遣いを学ぶ機会はありますが、毎日電話対応する相手は変化していくのでシーンに応じて臨機応変に対処するには、研修よりも実践で正しい言葉遣いを学んで行くことになります。そのため周りの先輩や同僚が話している様子を見て、対処の真似をしていくことも、正しい言葉遣いを身につけるための重要な学びとなるので、この経験は仕事で必ず役立つスキルを身につけることができます。
電話での応対に慣れている人の多くは、会話でポジティブなボキャブラリーが豊富になることもメリットの1つで、相手の要望に対して答えられない場合やその場で解決できない場合に相手に与える印象を悪くするマイナスな表現は極力使わず、ポジティブな表現に言い換えることで前向きな表現に変えることができるため、仕事の評価が悪くなるのを防ぐことができます。
即時対応することができる
そしてビジネスにおいて電話が苦手でなく積極的に使えるようになると得られるメリットには、「即時対応することができる」ことにあります。携帯電話が世の中に普及した理由と同じように、電話は受話器を取るだけですぐに対応が始まる通信手段です。
この手軽さと即時対応機能は、色々な通信手段が発達した現代でも欠かせないビジネスツールの1つといえます。実際に仕事で使用することが多いメールなどは、着信してから読むまで時間がかかります。しかし電話ならそのまま直接対応ができるので、緊急時に確認しなければいけない場合にもすぐに相手に連絡を入れることができます。
臨機応変な使い方ができる
「臨機応変な使い方ができる」ことも電話を使用する上で得られるメリットであり、電話は相手の言葉を聞きながら対応できるためすぐに反応を知ることができます。しかしメールの場合はあくまでも文字情報のみで、相手の真意がわかりにくい面があり実際にどう進めていくべきか判断することが難しいケースがあります。
電話は受け手によっても違いがありますが、言葉の1つ変化があったとしても微妙なニュアンスを感じ取ることができるため、臨機応変に対応を変えることができることが強みと言えます。
さらに質疑などにも電話が向いており、何か仕事上で疑問を感じた時などにすぐに連絡を入れて確認をすることができます。メールでは質問を送るまでに時間がかかり、メールを受け取った相手からの返信がくるまでにさらに時間がかかります。相手が忙しい場合こちらが確認したいことをメールで送ったとしても、相手がメール内容を確認してくれない限りこちらは仕事を進めることができないのでかなりの時間ロスとなり、非常にもったいないです。
最近ではチャットを使用して連絡をするという方法もありますが、チャットも基本はキーボードを手で打つ必要があり打つ時間がもったいないと感じるなら、スピード面でも電話を仕事で活用できることはメリットの方が多いといえます。
誰でも使えるシンプルな機能
「誰でも使えるシンプルな機能」ということも電話が持つメリットです。仕事でパソコンを使用する必要がある場合、基本的なパソコンの操作をはじめ業務で使用する専門ソフトを扱うための操作方法を覚えるまでには、自宅で勉強をしたりパソコン教室に通うなど、スムーズに使用できるようになるまで時間がかかってしまうケースは少なくありません。
しかし現在のビジネスシーンで電話が使えない人はまずいませんし、電話がかかってきたら受話器を取るだけで誰でも簡単に通話ができる非常にシンプルな通信手段といえます。
どんなに優れてたものでも、使いたい時にすぐに使えない状態では意味はなく、性能を最大限に発揮することができません。電話のように昔からある通信手段であっても、いつでも誰でも使えるという価値はビジネスにおいて非常に高いことも大きなメリットです。
今後も優れたビジネスツールはどんどん出てきていますが、現状どのオフィスでも必ず通信手段として電話が使用されていることを考えると、苦手意識を持つよりも実践を積んで苦手だと感じる部分を1つずつ克服してき、便利な通信方法として電話を最大限に活用することが仕事を最大限スムーズに進めることができるようになります。